■追い風あっても逆転なし
大幅に議席を減らした自公保の連立与党は、過半数を獲得し、「負けてはいない」として投票日の翌日、得意の「密室協議」で早々と森内閣の続投を決定、7月4日に特別国会が召集される。事前の投票率予測では7割と新聞報道され、直前の世論調査で自公保政権への批判は7割を越え、大きな変化が無党派層の行動で実現すると期待されながら、投票率は62%、戦後2番目の低さであり、自公保は過半数を割り込むこともなかった。投票率は前回の最低記録59%と比較しても、投票時間の2時間延長分を考えると実質的には最低の投票率だったといえる。一方、野党である民主党は「森発言」にも恵まれ、これだけの追い風のなかでも議席数を若干増やしたことで「小踊り」し、政権を奪取できなかったことに口惜しさはみじんもない。なぜこのような結果になってしまったのか、21世紀最初の国政選挙である来年の参議院選に向けて、政治の課題と日本福祉党の姿勢を明確にしたい。
■行き場を失った無党派層
衆院選が政策論争のない、数取りゲームの巨大な政治スポーツイベントとなり、政党は争点を明確にできないまま、投票日を迎えてしまった。争点なき選挙は無党派層をしらけさせるばかりだった。「無党派層は寝ていろ」と小馬鹿にされても、「起きたところでどうするの」が本音だった。さらに積極的な批判票も選択肢を狭まれ、行き場を失った。選挙区では連立与党3党の選挙協力で与党体制にとって確実に勝てる選挙に徹底したため、野党は対立候補を多くで見送った。各選挙区では支持もしない政党候補に投票しなければならない状況が広がり、このため有権者は投票行動が消極的にならざるを得なかった。小選挙区になって2回目の衆院選。各政党が小選挙区で立候補者を立てられないのは、前回から3年8カ月の間、政党活動を選挙区に根付かせようとしてこなかった怠慢である。野党の側からも選挙制度が悪いとして中選挙区に戻したいなどと「選ばれる側」の論理が先行し、「選ぶ側」の有権者を無視していては、選挙区有権者の票を掘り起こすことはできない。
■針路を示せない全国政党
また、森政権は政策を有権者に提示することなく、景気の底打ち宣言を選挙期間中に行うなど、猿芝居に終始したが、対抗する野党はそれ以上に未来戦略が見えなかった。せっかくの巨額を投じたテレビコマーシャルも敵の失言に乗った「ギャグ」では、有権者の知的水準は満たせない。未曾有の不況、将来世代に負担を付け回す借金立国。それぞれの脱却の道筋を国民は求めている。この衆院選で明らかになったことは、東西冷戦時代の遺物である保守対革新の図式を克服できない既成の総合政党では、高齢社会を迎える新しい社会構造の提示とその道筋を明確にすることはできないことである。全国規模での大イベント・ショーの衆院選ではなく、明確に政策論争ができる来年の参院選こそが、21世紀の日本の針路を決める選挙である。持続可能な産業構造、自立福祉の社会構造実現、それによる日本経済の再生。専門政党である日本福祉党は来年の参院選に向けて有権者に訴える準備を開始する。