「河井登喜夫氏を追想」  尾池 廣之

人生にはさまざまな出会いと別れがあり、その狭間にいろいろなドラマがあります。
日本海軍艦艇模型保存会代表河井登喜夫氏の名を知らないモデラーいないでしょう。氏がその生涯のうち艦艇模型にかけた情熱は、先ず昭和54年に日本海軍艦艇模型保存会の設立から始まり、会員を募り会誌を発行し、会員諸氏との出会いが始まり私もその一人でした。

この保存会の設立の趣旨は旧日本海軍艦艇模型の全てを勢揃えし、一般公開出来るよう200分の1の統一スケールで再現すると言う壮大な計画でした。それから部品の開発を初め図面の頒布、そして艦艇模型を次々と制作し、それを会誌に発表し併せて会員の作品も紹介し、年に一度の例会で作品を展示して艦艇模型の普及に努めました。縮尺は200分の1に限らず更に、500分の1、100分の1と発展し、中でも大和の研究は群を抜き、50分の1大和の走行模型を走らせ100分の1大和を完成させました。氏のおかげで私たちは随分助かりました。

氏が最後に計画されたのが大和10分の1で、全長26メートルの大きさは果たして実現するのか半信半疑でした。然し搭載機の発動機(瑞星と思う)の写真が届き実物と紛う程の出来栄えに驚き、次に零観を見てこれは本腰を入れているなと思いました。然しその頃から氏は体調を崩し会誌を100号で終りとし例会も閉じました。そして遂に別れが訪れ平成11年11月24日帰らぬ人となり氏のドラマは終わりました。

今年ははや三回忌を迎えます。生前格別のご愛顧をいただいたことを感謝し心よりご冥福をお祈りいたします。10分の1大和は故河井登喜夫氏のご子息の河井真一氏がご父君の御遺志を継ぎ、その実現に向かい大和では知る人ぞ知る坂上隆氏を主任に計画を進めています。10分の1大和が現実のものとなる日が来ると信じています。私は故河井登喜夫氏のご縁で坂上氏の助手を努めています。 浅学の身ですのでどうぞよろしく。  



10分の1戦艦大和製作委員会